20140830

【和訳】Billy Joel - She's Always A Woman To Me

(アルバム"The Stranger"より)

*kill = 悩殺する、圧倒するという意味で使われることがかなり多い。
*throw shadows
「影を落とす」と訳しましたが、気持ちを暗くさせるというよりは、煙に巻くという意味に近いような気がします。なのでyouを心とも思考ともせず、「空間」と訳してみました。逃げてます。

名曲というのは、訳し辛いです。大抵の場合はまず、既に和訳の定石が決まっていて、改めて自分で訳し直す必要性が感じられません。そして名曲と呼ばれる曲の歌詞は決まって、言葉の選び方や並びが美しすぎて、その美しさを日本語で表現し直すのが、本当に難しい。特にビリー・ジョエルの場合は… どの曲も美しい。もちろんメロディーも美しい。美しい音楽と美しい歌詞が組み合わさって、途方もない美しさを見せる。和訳をすることでその美しさが損なわれるんじゃないかと、今書きながらすごく不安です…。
こういう歌詞を取り扱う度に、和訳には英語を理解するセンスと同じくらい、日本語としてアウトプットするセンスというか、国語の言語感覚を養わなければいけないんだなと、猛省します。

******

She can *kill with a smile
She can wound with her eyes
She can ruin your faith with her casual lies
And she only reveals what she wants you to see
She hides like a child
But she's always a woman to me
笑顔ひとつで 人を魅了し
その眼差しで 人を傷つける
何気ない嘘で 信頼を砕き
見せたいものだけを見せる
子どものように隠し事をする
けれどそんな彼女はいつまでも
僕にとっての 女性という生き物 そのもの

She can lead you to love
She can take you or leave you
She can ask for the truth
But she'll never believe
And she'll take what you give her as long as it's free
Yeah, she steals like a thief
But she's always a woman to me
人を愛へと導き
受け入れるも 突き放すも 気の向くまま
真実を求めるくせに
その真実を 信じようとはせず
対価を求められない限りは
差し出されるがままに受け取る
腕利きの泥棒のように盗みを働く
けれどそんな彼女はいつまでも
僕にとっての 女性という生き物 そのもの

Oh, she takes care of herself
She can wait if she wants
She's ahead of her time
Oh, and she never gives out
And she never gives in
She just changes her mind
自分のことは自分で片付けられる
そうしたければ 待つこともできる
時代の先を行く彼女
力尽きることもなければ
降参することもない
彼女はただ 気持ちを変えるだけ

She will promise you more
Than the Garden of Eden
Then she'll carelessly cut you
And laugh while you're bleedin'
But she'll bring out the best
And the worst you can be
Blame it all on yourself
Cause she's always a woman to me
エデンの楽園以上のものを約束してくれたかと思えば
ぞんざいに切りつけ
血を流す人の姿に 声を上げて笑う
けれど彼女は
最善の持ち味を引き出し
そして最悪の醜態を曝させる
けれど恨むなら 恨む相手は自分しかいない
だって彼女はいつまでも
僕にとっての 女性という生き物 そのもの

Oh, she takes care of herself
She can wait if she wants
She's ahead of her time
Oh, and she never gives out
And she never gives in
She just changes her mind
自分のことは自分で片付けられる
そうしたければ 待つこともできる
時代の先を行く彼女
力尽きることもなければ
降参することもない
彼女はただ 気持ちを変えるだけ

She is frequently kind
And she's suddenly cruel
She can do as she pleases
She's nobody's fool
But she can't be convicted
She's earned her degree
And the most she will do
Is *throw shadows at you
But she's always a woman to me
やけに優しく接してくれたかと思えば
ふと意地悪な態度を取る
好き勝手に生きる彼女
抜け目ない彼女
けれど彼女は
責められるようなことはしていない
賢い知恵を身に着けた彼女
彼女のすることは大抵
人の空間に影を落とす
けれどそんな彼女こそが
僕にとっての 女性という生き物 そのもの
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5 件のコメント:

  1. 2曲続けてご対応いただき本当にありがとうございます!
    Billy Joelでは一番好きな曲で、あまりにも影響が大きく、この数十年変わることなく理想の女性像となってます(笑)

    言われている通り、Billy Joelの詩はそれぞれが絶妙なバランスなので、日本語で表現するのは難しいですよね。 訳含めてとても参考になりました。

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    1. 女のわたしから見ても、この歌詞に出てくる女性(モデルは一人目の奥さんだそうですね…)は、すごく魅力的に思えます。きっと現実にいたら、小悪魔どころじゃなく、とても手のかかる女性なのでしょうが…!

      ビリー・ジョエルの本来の、絶妙なバランス感覚や言葉の選び方を、和訳として表現できたかは疑問ですが、英詩の理解の手助けになれば幸いです。

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  2. Billy Joelを聴き続けて35年のオッサンです。
    解釈は色々あって良いと思いますが、全然理想の女性じゃ無いですよね。
    でも、そんな女性にトリコになっちゃう男の「僕」を歌い上げているんでしょう。

    私も付き合う相手はいつもそんな女性。
    わがまま放題、好きなように振る舞って周りは振り回されっぱなし。
    気分屋で自分勝手・・・
    それでも好きなんですよね。好きで仕方ない。

    Billyが私生活で4度の結婚(3度の離婚)をしているのがよく分かります。

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    1. わたしはBilly Joelは有名な曲しか知らないひよっこですが、この曲は大好きです。
      理想とはかけ離れているから惹かれてしまうのかもしれません。個人的にはわたしは、気まぐれな男の人が好きな人間ですので、歌詞で歌われる女性が男性だったらものすごく理想的なのですが笑

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  3. 有難うございます。ビリィーの考える女性の理不尽さをうまく日本語に表現して、曲の良さに意味が解って一粒で二度おいしい曲になりました(笑)

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