ラベル 音楽の話 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 音楽の話 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

20151024

【海外記事】The Libertines - The Secret Story Of Every Album Track Explained

NMEの記事から。面白かったので和訳してみました。ベスト盤収録曲については触れられていません。一部曲名に和訳記事をリンクしています。
Anthems For Doomed Youthの和訳は年内にできたらいいなと考えています。

******

The Libertines - 全アルバム収録曲にまつわる秘話解説


The Libertinesの再結成が近い将来起こりそうな兆しがちらちらと見える中、素晴らしい戦艦アルビオン号はいつ今一度の航海に出発してもおかしくはない状態だ。彼らにスターの座をもたらした楽曲について、その背景を掘り下げるには絶好の機会である。Up The Bracketの先頭打者Vertigoは、ハンコックのHalf Hourへの言及 (「リードパイプがあれば、幸運は我が物」)を持ってして、彼らの極めて英国的な見地を出だしから固める楽曲である。

Death On The Stairs

“リバトニアン”的にめちゃくちゃなロマンスという、例によって詩的な作品である2曲目に登場する「エリトリア人の娘」は、阿片によって導き出されたコールリッジの詩Kubla Khanの引用で、死か栄光のテーマに向かって全速力で突き進む。「カールはいずれ一人で孤独にテレビを見るだけの老人になるんだって考えに憑りつかれてた」と、ピートは語る。「俺たちはそれを『階段での死亡説』って呼んでた。」

Horrorshow

いくつかの極めてあからさまなヘロインへの言及や”brown(茶色/ヘロイン)”である”horse(馬/ヘロイン)”についてはさておき、Horroeshowという麻薬にいかれた物語において最も注目すべき点は冒頭のカプレットであり、これは当時ピートのガールフレンドであったフランセスカが作成したものだ。その後、彼女は歌詞の使用に対して訴えを起こす姿勢を示したものの、訴訟までには至っていない。

Time For Heroes

初代マネージャーであるBanny Pootschiのイズリングトンのフラットで書かれたこの初期作品は、2001年のメーデー暴動におけるドハーティーの経験を軸に展開する。「警官を相手取った長期戦が繰り広げられてて、俺もその一員だった」と、彼は説明する。「警官は俺におちょくられてると思ったらしくて ― そいつの暴徒鎮圧用シールドを覗き込んで髪の毛を直してたら、頭の横を思い切り踏みつけられた。」



Boys In The Band

2001年6月に行われたThe Strokesの圧倒的なロンドン公演を見た後、バンドは初期のノスタルジックなサウンドから方針を変え、その直後にまわしを締め直す意図で書かれた数々の楽曲の内の一曲がBoys in the Bandだった。「その辺りでアプローチの手法が変わって」と、カール。「以前より少しだけ無情で、少しだけ絶望的で、少しだけ激しくなった。」バンドはそれをプランAと呼んだ。

Radio America

バンドの中で評価がまっぷたつに分かれる楽曲 Radio Americaは、何通かの気まぐれなブラックメールのおかげでUp The Bracketに登場するのみで終わった。「(カールに)金を貸してたんだ。借金をチャラにする代わりにRadio Americaをアルバムに入れてもらった」と、ピートは当時語った。「これぞまさしく典型的なリバティーンズ。完全にはしたない。」

Up The Bracket

Teesdale Roadにあるピートとカールのフラットから程近いBethnal GreenのVallance Roadに言及するUp The Bracketは思わしくない乱闘にまつわる曲で、その経緯は最も英国的な方法で語られる。「二本の冷たい指」はVサインを見せつける仕草を表す懐かしい表現方法のひとつで、戦いに負けると指を切り落とされるイギリスの弓兵によって考案されたと言われている。



Tell The King

バンドのセットリストに不可欠な要素のひとつとして、カールはしばしばトラックの最終バースの後に第二部を付け加えることがあり、それは(例の不明瞭な歌声による供述から察するに)広く次のような内容であると考えられている。「ふたつの青い目があいつの方を向いたのに/あいつは中華料理のテイクアウトを買おうとしている/つまり愛は道を見つけ/あいつの手を引いて連れて行くということ」

The Boy Looked At Johnny

タイトルは元NME所属ジャーナリストであるJulie BurchillとTony Parsonsによって制作された同名の本から取られた。しかしながら(具体的には「俺が何様のつもりでいるのか分からないのか?」といった歌詞から推察するに)問題のジョニーの正体はジョニー・ボーレルであると考えられている。彼は現在の姿の前身となるバンドの一員として、一時的にリバティーンズでベースを担当していた。

Begging

Beggingはアルバム制作期間の前後によく遭遇した地元民のグループに着想を得た楽曲だ。「あいつらは本物の底辺だ」と、カールは当時こう表現した。「すごく対立的な態度を取ってくる。俺たちをヒッピー呼ばわりして、『乞食』と言った。それがあいつらの知ってる悪口だったんだ。」

The Good Old Days

リバティーンズの持つ典型的なイデオロギーにまつわる楽曲であると同時に、訳知り顔で偽善者ぶったような楽曲でもあるThe Good Old Daysには、バンド内部についての言及が詰め込まれている(「アルカディアの夢」「航路を進むアルビオン号」そして「ピッグマン」-ドハーティのあだ名― も同様に)けれどもその上で、ノスタルジアを感傷的に演じる試みを非難もしており、それをバンドが力ずくで行ったことは明らかだ。

I Get Along

I Get Alongはデビューアルバムのトリであるが、初めて姿を見せたのはファーストシングルWhat A WasterのAA面として。ファストペースでパンクな雰囲気を持つ享楽主義と甲高いお祭り騒ぎの歌は主としてカールによって制作され、しかしながらLetterman Showでは検閲により、歌詞のヤマ場である”fuck ‘em”を”Your mama”に変えざるを得なかった。



Can’t Stand Me Now

セルフタイトルを冠した二枚目のアルバムはこの曲で幕を開ける。ピートとカールの手に負えない愛憎関係ついての、バンドのコール・アンド・レスポンス劇である。ピートはカールのフラットに不法侵入した罪で出所したばかりであったため、ピートの「軽々しい手つき」とカールの「黙れ!」に込められた、ほとんど隠し切れていない真意については、誰もが認めるところだった。



Last Post On The Bugle

元々は遠距離のロマンスの維持を目的とした頌歌として書かれ、それに続くピートの服役期間が「いつかまた会おう/ああ友よ 払うべき犠牲がある」といったような歌詞に新たな感慨を付け加えた。メロディーと歌詞の大部分はMasters’ Apprentices’による無名の楽曲War Or Hands Of Timeから引き揚げられたもので、「ささいな泥棒行為」とピートは言ってのけた。

Don’t Be Shy

The Libertinesによる2003年のBabyshambles sessions (Babyshambles自体が結成されその名を名乗るようになる以前)の期間中に初めて録音が行われたDon’t Be Shyはアルバム中で最も軽やかに狂気を表している楽曲だ。「ラストチャンス・サロン」や「酔った老女王たち」には頷ける所がある、がしかし、やはりバンドの持つ英国的な伝統によって、それらは曖昧なものとして保たれている。

The Man Who Would Be Kind

Rudyard Kiplingによる同名の友情にまつわる短編小説から名付けられたThe Man Who Would Be Kingには同じくバンド自身の経歴が反映されている。冒頭のコードはデビューアルバム収録Tell The Kingのそれと同じ進行である一方で、「お前にちょっとした秘密を教えてやろう」というセリフは「お前にもうひとつ秘密を教えてやろう」に差し替えられている。

Music When The Lights Go Out

哀愁を帯びたデモ作Legs 11で初めて世に出たMusic When The Lights Go Outは、当初の形式ではアルバム収録版よりも遥かに柔らかい印象だった。「見事で豊かで熱狂的な要素の溜池を持つというのは良いことで、おかげで若かった頃の、生意気で理想家だった自分たちについて、ものすごく歌いたい気分になれた」と、カールは楽曲について語った。

Narcissist

オスカー・ワイルドが生んだアンチ・ヒーローであるドリアン・グレイを引き合いに出すNarcissistは実のところ、バーでの二人のフランス人男との出会いの後、フランスへの軽率な遠出について書かれたものである。「ピーターはとにかく何に対してもイエスと言って―信じられないような茶番劇の登場人物になりたがってるみたいだった」と、カールは回想する。「最終的にはナント郊外にある、凍えるように寒い、たぶん元はスタジオだった車庫に辿り着いた。」

The Ha Ha Wall

「The Ha Ha Wallの始まりはカールと俺にとってのまさに初めての晩、お互いに出会って、憎悪と避け合いの1年を過ごして、ようやくギターを弾く友達同士という立場に落ち着いた1998年まで遡る」と、カートは楽曲について語る。「俺たちが初めて一緒に書いた曲が成長してThe Ha Ha Wallの姿になった。」

Arbeit Macht Frei

Work makes you free(仕事は自由を与える)と訳されるこれは第二次世界大戦中に多くのナチス強制収容所の入り口に掲げられたフレーズである。楽曲の歌詞は憎悪と偽善に視線を向けている。

Champagne of Hate

“Mugs!”(バカ!)や”Oh my god!”(うそだろ!)といったアドリブの叫び声が特徴的な、このいかにもロンドン的な、おそらく、ごまかしや若者同士の間で生まれるプレッシャーを表す頌歌は多くのThe Libertines(放浪者たち)が抱えていた重く、より個人的な事柄にまつわる問題の中に共通して存在していた、短くて気軽なインタールードだった。

What Katie Did

一作目から二作目の間、ピートとカールの一時的な仲たがい期間中に書かれたWhat Katie Didは、全体がピートによって書かれ、しかし和解を示す行為として、リードボーカルを歌う役割はカールに与えられた。

Tomblands

アルビオンという詩的な幻想とつながる海事の、海賊らしい叙情主義(「ヨー・ホー・ホー」「ジュークボックスの8番目の曲」)の残りかすであるTomblandsは、一時的にアルバムのタイトルトラックにとも考えられていた。もうひとつの、冗談のようで詩的さに劣る選択肢はThe Brown Album - The BeatlesのThe White Albumにちなみヘロインを引き合いに出したタイトルだった。

The Saga

パリへの旅行中、やはりMontmatre’s Hotel France Albionで行われCan’t Stand Me Nowを生んだ例の作曲セッション中に書かれたThe Sagaの着想となったのはPaul Roundhillという友人で、彼はピートに手紙を書いてますます深刻化していた薬物依存への警告を伝えた人物である。

Road To Ruin

おそらくはThe Sagaというピートのボソボソとした言い訳に対するカールの反撃であるRoad To Ruinのきっぱりとして率直な歌詞(どうすれば/分かってくれるんだ?/お前が何者かは/お前の手に記されている)とあからさまなタイトルには解読の必要がない。もうひとつの楽曲All At Seaも、少し前の段階でのデモセッション期間中にはRoad To Ruinと仮で呼ばれていた。

What Became of The Likely Lads

70年代に英国で放送された同名のシットコムから名前を取ってつけられたWhat Became of The Likely LadsはCan’t Stand Me Nowで始まった時と同様の率直で探究的な作風でレコードを締めくくる。「将来有望な男たちはどうなった?俺たちが持っていた夢はどうなった?永遠はどうなった?」

20140503

【雑談】パオロ・ヌティーニの観ておくべきライブ映像10選。

2014年4月、5年ぶりとなる3作目のアルバムCaustic Loveを発表するパオロ。続く5月の来日公演までの期間、パオロについての紹介記事をちょこちょこ書いています。
来日キャンセルになってしまいましたが、リアレンジの時を夢見て。一人でも多くの人がパオロの魅力を知って、パオロを好きになってくれるように。アルバムを買ってくれるように。少しずつですがわたしの知っている限りのことを紹介できたらと思います。

パオロは何といってもライブの人。今回は今までに観たライブ映像の中からお気に入りを10本選んでみました。タイトルをクリックすると個別の和訳記事に移動します。

******

High Hopes (T in the Park 2009)
Sunny Side Upプロモーション以降はバンドの平均年齢がかなり高く、アルバムの歌詞の内容も隠居したおじいちゃんが書いたようなものが多いです。その中で珍しくこの曲は青年から年長者へ向けた視点で書かれた、少し若い内容の曲です。歌い方も同時期の他の曲に比べたら少し若い。



New Shoes (Eden Sessions 2010)
陰鬱な雰囲気の曲が多いThese Streetsの中で、物凄く明るくてポップな曲。アメリカに進出して一番人気だったのはこれだったと思います。パオロの曲はCD音源とライブでは全く違う魅力があって、どちらも素晴らしいです。この曲もCD音源では軽やかに、爽やかに、という印象が強く、ライブでは内側から溢れ出るエネルギーを感じるような仕上がりになっています。



Million Faces (Glastonbury 2007)
パオロの曲には一曲も捨て曲がないのは間違いないのですが、切々としたラヴソングはThese StreetsではLast RequestやRewindがあって、さらにSunny Side UpではNo Other Wayというかなりヘビーな一曲があるので、どちらかといえば影が薄い曲なのかなと思います。でもわたしは大好きな曲で、ベストトラックを選ぶなら間違いなくこの曲をリストに入れます。2007年はまだまだデビューしたての新人で、それでもこんなに堂々としているのですが、やはりまだ若さがあって、歌い方も若干おじいちゃん化してるかな?程度なのが今見ると新鮮です。



Pencil Full of Lead (Later... with Jools Holland)
ジュールズ楽団のホーン隊が豪華なのと、ウッドベース(いつもはエレキ)がこの曲の雰囲気にすごく似合ってるなあと思います。たぶんこの中で一番年下なのに、誰よりも年よりに見えるのが凄い。



Scream (Funk My Life Up) (BBC Radio1 2014)
ゼイン・ロウでトラック初披露になってすぐに公開されたこのライブ版。ブランクを経ての新作に少し不安だったものの、これを聞いて期待しか感じなかった。



Last Request (iConcerts 2010)
2010年はSunny Side Upのプロモーション時期だったので、These Streetsの曲もそれに合わせた癖のあるアレンジが多かったように思います。Last Requestも当時はもっと朗らかに軽さのある声で歌っていたので、こんなにしっとり歌う姿が、わたしの目には珍しく映りました。These Streetsの頃の繊細さを感じられて魅力的です。



10/10 - Alloway Groove (Sziget 2012)
Alloway GrooveはThese Streets収録のラストトラックで、当時から今でも大体アンコールの最後に演奏しています。Sziget 2012のセットは陽気や観客の雰囲気も含め素晴らしいので、繰り返し観ています。是非大画面表示にしてご覧下さい。わたしはお気に入りのバンドがフェスに出る時、できるだけ夕暮れから夜にかけてのステージで見たいなと思うのですが、パオロの場合は、例えばもしもフジロックに出演なんてことになったら、ティータイム辺りのグリーンステージでビール片手に見たいなといつもこの動画を見て思っています。



These Streets (Paléo Festival 2010)
デビューアルバムのタイトルトラック。ギターだけのシンプルな構成と歌声に照明もよく合っていて素敵だなと思います。18歳で書いたとは思えない歌詞。進学で実家を離れた時、よくこのアルバムを聴いて、この曲を何度もリピートしてたことを思い出します。



Jenny, Don't Be Hasty (Live in Roma 2010)
These Streetsは夜のアルバムだと思います。このライヴは出だしでブレがあって完璧とは言えないのですが、アウトロが素敵で、会場の暗さが曲に合っていて気に入っています。



Funky Cigarette (Lowlands 2009)
この曲もほぼ毎回演奏しています。普段に比べれば小規模ながらも楽しそうに演奏するバンドや、ファンキーシガレット(=マリファナ)を吸ってぶっ飛んでるような顔を見せるパオロがすごく可愛い。ジャングルブックのキング・ルーイのフィギュアが飾ってあるのは、ここでもI Wanna Be Like Youを演奏したからだと思います。



******
パオロはこれまでに数多くのカバー曲(全部で100曲くらい?)を披露してきました。どの曲も本家に引けを取らない、あるいは本家を越えていると思わせるような出来で、シンガーとしての実力が充分に発揮されています。
そんなカバー曲の中からも、お気に入りを少しだけ紹介します。

Time To Pretend by MGMT (Pink Pop 2010)
MGMTの楽曲は今まで色んな人たちにカバーされてきました。特にTime To PretendはMGMTのデビューシングルにしてKidsと並ぶ大ヒット曲。2008-2009年の間には、プロもアマも関係無く、ライブ会場やネット上で、こぞってカバー合戦を繰り広げていたように思います。
その中でもパオロのカバーは群を抜いて素晴らしい。頻繁に演奏していたのはちょうどSunny Side Upのプロモーション中で、アルバムの中に混ざってても全然違和感ないなと思ってしまうほど、自分のものにしていたのが印象的でした。



Daydream by The Lovin' Spoonful
フルバンドのスタジアムとアコースティックのインストアでは演奏が違うのは当然ですが、大きな会場と小さな会場にいるパオロにはどちらも全く違う表情があって、驚かされます。



Wake Up by Arcade Fire
パオロは古いレコードばかり聴いてるわけではなくて、最新の音楽も好きなんです。ただそれをパオロがカバーすると、50年前からある名曲のように聞こえてしまうんです。アーケイド・ファイアはかなり壮大で、オリジナルももちろん大好きですが、パオロはそれとは全然違う魅力を引き出しているなと思いました。



******
いかがだったでしょうか?いつかこんなライブの数々が、日本で観れる日が来るといいですね。

20131111

【お知らせ】シンディ・ローパー 30周年 アニバーサリー

今年はシンディ・ローパーのデビュー30周年記念イヤーだそうで、サマーソニックでの来日、加えて日本ツアーも行われる予定とのことです。

シンディ・ローパーといえば大の親日家で、震災のために精力的に支援活動を行ってくれたのが記憶に新しいと思います。

そんなシンディの30周年をお祝いしようと活動なさっているのがCyndi Lauper Japan?さん。
http://cyndilauperjapan.blogspot.jp/

twitter(@CyndiLauperJpn)での最新情報や動画の紹介を活動的に行われています。
とても情報に溢れたアカウントですので、サマーソニックに行かれる方はもちろん、シンディ・ローパーのファンの皆さんには、是非フォローをお勧めします。

今回紹介するのはCyndiLauperJpn?さん製作の記念動画で、見ればもっとシンディが好きになるような、とてもすてきな仕上がりになっています。



mixiコミュニティーはこちら。
http://page.mixi.jp/run_page_apps.pl?page_id=264495&module_id=1487224&from=menu