20140228

【海外記事】Clash and Burn with Hard-Fi

1stを発売する前の、2005年3月の記事です。斜体がリチャード・アーチャーの回答。原文は こちら


DiS: あなた方はThe Streetsのバンド版と呼ばれています。ご自身ではどう思いますか?

Richard Archer: 似たような場所の出身だから、そうかなって思う部分もあるけど、The Streetsがその状況に反抗するのに対して、俺たちはその状況から逃げ出したいと思ってる。世間がそう言うのは、俺たちがどちらも現実的な歌詞を書くからじゃないかな。

The Clashとも比較されていますよね。それについて嬉しく思いますか?それともがっかりしていますか?

うーん、嬉しいよ。The Clashは大好きだし、偉大なバンドだし、凄い存在だから。だけど俺たちはThe Clashじゃない。俺たちはHard-Fiで、The Clashになるつもりはない。世間にそう言われる理由は理解できるけど、それに左右されることはない。ただ俺たちはThe Clashのコピーをやろうとしてるわけじゃないんだって話。

(語気強い回答だが、後日インタビューを整理していると、アーチャーがかつて組んでいたバンドContempoはThe Clashのミック・ジョーンズにプロデュースを受けた経験を持つことが判明した。犯罪科学の基本原理を引用するならば「全ての接触には痕跡が残る」ということか)
もちろんThe Clashはチャート嫌いなバンドではありませんでしたが、ロックに対する誠実さを保ち続けたバンドでしたよね。

俺たち自身が、有名になって、出来るだけ多くレコードを売って、出来るだけ多くの人の前で演奏したいと思ってるっていう事実については、後ろめたくは思わない。だけど、すごくクールなだけで本気で愛されないようなバンドにはなりたくない。そんなバンドに意味はないから。ブロンディとかあの辺のバンドがやったのと同じように、俺たちもたくさんクールで魅力的なポップソングを書きたいし、それのどこが悪いのか分からない。他人と関わり合う以上は、情熱を持って想像力豊かに試みる限り、とっつき易い作品を作ろうと考えることは間違ってないと思う。

2ヶ月前を思うと、あなた方のシングル"Cash Machine"が何度もラジオで流れていましたよね。チャートではそれ程順調に行かなかったという結果は、予想外なものでしたか?

実際の売り上げを見ると、40位くらいには食い込んだと思うんだよね。だけど無料のステッカーを封入したせいで、チャートに反映されなかったんだよ。

ステッカー?

そうだよ。おかしなチャートの規定のせいで、記録に加算されなかったんだ。

無料のステッカーを餌にしていると見なされた、ということですか?

そう。だけど事の発端は、メジャーレーベルの多くがオマケ戦略で在庫を捌こうとしてた頃まで遡るのかもしれない。俺たちは3000枚しか用意してなくて、それが全部売れたもんだから、実際に発売できたこととか反応を見られることだけでもすごく嬉しかったんだ。当時は駆け出しで、ほとんど演奏もしてなかったから、あんまりすぐに忙しくなりたくはなかった。

新しいシングル"Tied Up Too Tight"について教えてもらえますか?

俺が生まれた町はいつも曇ってて、月並みな出来事を愛してる人間以外にとっては、退屈で憂鬱な場所だった。郊外のどんな町に関しても言えることだけど、主人公はそこでの暮らしに馴染めないんだ。そんな奴がロンドンに出て、明るい街を見て、センス良い服着てる連中や、センス良い人間に出会うって歌で、基本的には夜遊びの歌だよ。

単独公演を始める前に、4月の頭からKaiser Chiefsのサポート務めるそうですね。"Cash Machine"が再販になって、Chiefsの"Oh My God"と同じく返り咲き、なんてこともあり得るのでは?

それ程先の事までは真剣に考えてないけど、そうなっても驚かないよ。かなりの数量限定発売だったからね。

"Cash Machine"はミニアルバム"Stars of CCTV"からの曲で、こちらも昨年末に少数販売されたものです。売り切れてしばらく経った今では、eBayで中古品に25ポンドの値がついていますよ。

金は無かったけど時間だけはたんまりあった。だから企画に1年かけて、それから自分達でレコーディングして、アートワークも自分達で手掛けた。ウェブサイトのデザインまで自前だよ。図書館で本を借りて作り方を覚えたんだ。だけどポンコツだったからもう一度やり直さなきゃならなくなって…。それからのことは、何もかもが急速に進展して、ほんの2ヶ月でこんなに凄い状況になって、本当に驚いてる。

ミニアルバムからの曲でフルレングスに収録するものはありますか?

再販する予定だけど、5つか6つくらい曲を追加するつもりだよ。タイトルは変えないと思う。

"Feltham Is Singing Out"は世の中で初めてウェストロンドンのあの地域について触れた楽曲ですよね。歌詞に取り入れる際に、治安が悪いことで有名なアメリカの地名がイギリスの地名よりも魅力的に聞こえるのはなぜだと思いますか?

はっきりとは分からないけど、たぶん自分が住んでる場所から遠く離れた所にある地名っていうのは、どうしたって近所の地名よりも魅力的に聞こえるんだろうね。忙しくなり始めた頃にアメリカのレコード会社の人間と話をしてた時の事なんだけど、こっちに出向くために飛行機に乗ってた担当者が、フェルサムに行ってみたいと言ったんだ。それで俺たちは「そうなの?ヒースローに入ったら、窓の外を見てみな。燃えてる車を見つけたら、それがフェルサムだよ。近付いてみてごらん」ってね。

ヒースローと言えば、真面目に聞いてもいいですか。"Cash Machine"のビデオを撮るために空港に忍び込んだという話は本当なんですか?

金がなかった俺たちは、金をかけずに印象に残るビデオを作ろうとしてた。そしてもちろん、空港が近所にあって、使えるなと思った。監督をしてくれた奴が観光センターに行って『このエリアに引っ越してくるんですけど、明日到着の飛行機ってどこから入って来るんですか?目をつけてる物件に影響するんじゃないか気になってて…』
そうやって飛行機が入ってくる方角を確かめて、フェンスの向こうに荷物を運んで、準備を進めた。ほんの数分だ。ここから抜け出せば全部終わる、って思いながらね。だけど俺たちを見かけた人たちは ― バンドが荷物を広げて演奏してるんだって思ってた人たちは、かなり不自然な状況だったのに、きっと許可を取ってるんだろうって勘違いして、そのままやらせてくれたんだよ。俺たちは必要なものを手に入れて、すぐにその場から引き上げたんだ。
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